趣味ブログ : 個別株への投資(PERを基準にした投資の限界)2
趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
前回、投資の判断基準としてよく用いられるPERの以下の問題点について取り上げ、『PERを重視した投資は見直した方が良いのではないか』という提案をいたしました。
⒈ 将来の規模拡大を目的に先行投資をしている成長企業を評価できない。
⒉SaaSのようなビジネスモデルを正当に評価できない。
⒊株価が割安か否かを判別しても株価の変動を予測できない。
今回は、その続きで、『PERでないなら、何を判断基準として投資を行えばよいか』について、お話しいたします。
このような企業を評価する方法として、有名な方法を2つご紹介します。
「40%ルール」と「PSR(株価売上高倍率)」です。
①40%ルール
米国において、SaaSなどのベンチャー企業を評価する基準として、「40%ルール (The Rule of 40%)」というものがあります。
ベンチャー企業では(SaaSならなおさら)、将来の規模拡大を目的に先行投資をしているため、利益がでていない状況を正当に評価しようと試みる基準です。
『売上高の前年比成長率+営業収益率 >40% が望ましい』というものです。
例えば、売上高の前年比成長率が80%であれば、営業利益率がマイナス40%であっても、合計40%となるため、投資して大丈夫」というものです。
(流石にこれだけで判断して投資するわけではありませんが、赤字を許容する理由には使えるということだと思います。)
この売上高の前年比成長率のところは、月額の定額料部分の売上高の前年比成長率に置き換えるやり方もあるようです。
そして、営業収益率の部分はFCF(フリーキャッシュフロー)マージンに置き換える見方などもあるようです。
FCFとは、企業が稼いだお金から企業が活動するのに必要なお金を差し引いた、企業の事業活動から株主や債権者に対して、株主還元などに企業が自由に使うことができるお金のことです。
フリーキャッシュフローは、キャッシュフロー計算書の中の「営業活動によるキャッシュフロー」と「投資活動によるキャッシュフロー」を足し合わせることで計算できます。
大まかにいえば、 まず本業で稼ぎ出したお金があり、そこから設備投資などに使った分を差し引いて、残りのお金が「投資家に自由に還元できるお金(フリーキャッシュフロー)」になる、ということです。
計算式は、『FCF =税引後営業利益+減価償却費-設備投資増加額-運転資金増加額』です。
FCFマージンは、『= FCF/売上高 』%です。
その他にも置き換えされる場合がありますか、重要なことは、PERと比較して、直近の業績にとらわれることなく、その事業の将来の利益を生み出す力を評価しようというものです。
②PSR(株価売上高倍率)
40%ルールの他にスタートアップ企業の評価指標としては、PSRが有名です。
PSRは主に赤字の会社(未上場会社やベンチャー企業など)の割高・割安を測る指標として活用されています。
計算式は、『PSR = 株式時価総額 ÷ 売上高』です。
例えば、PSRは20倍以上なら割高、0.5倍以下なら割安というようにみていくのですが、注意点があります。
利益率が高い企業ほど割高になり、利益率が低い企業ほど割安に見えてしまいます。
製造業のように比較的利益率が低い業種の場合、売上高は高い一方で利益がほとんど出ていないという状態が少なくありませんが、売上高が高い金額が高いためPSRが低くなり「割安」と見えてしまいがちです。
一方で、IT企業のように利益率が高い業種の場合、原価がほとんどかからず、利益は多く出ているのにもかかわらず、売上が極端に小さいという場合にPSRが高くなり「割高」に見えてしまう恐れがあります。
このような問題点があるため、PSRを絶対的な指標とはみずに、同じ業種の会社間で比較することや、時系列でPSRの推移を見るという見方になると思います。
使い方に制限がありますが、PERでは評価できないスタートアップの赤字企業が将来の利益を生み出す力を評価しようというものです。
このように40%ルールとPSRを見てきました。
PSRについては、シンプルでわかりやすい点がメリットですが、使い方の制限が大きいため、40%ルールの考え方を私は参考にしています。
但し、営業利益もFCFも成長性のあるスタートアップ企業が創業間もない時期に必要な人件費や広告宣伝費もマイナスに評価してしまうため、売上総利益に置き換えるのが好みです。
つまり、毎年の売上総利益の成長率が高い企業に注目し、その企業の成長率の推移をみて順調に成長しており、今後もその成長が維持できそうであれば評価するという考えです。
ところで、まだ特定の企業を評価しても、その企業の今後の株価の変動を予測できないのでは、ないかという問いに対しての対応方法をお話ししていませんでした。
今後の株価の変動を考えるために重要な視点を2つ紹介いたします。
①企業が成長すれば株価は上がるのか?
②株価の変動をどのように予測するのか?
①企業が成長すれば株価は上がるのか?
PERに限らず指標を投資の判断基準とする場合、その指標の数値がよくなれば投資対象とするというような考え方があると思います。
企業が成長し、利益を多くあげることができれば、PERが低くなるという具合です。
40%ルールにおいても、例えば、企業が成長して40%に達したら投資対象としようということです。
はたして、企業が成長すればそれに伴い株価は上がるのでしょうか。
仮に、PERが低くなるとそれに伴い株価が上がるのであれば、多くの企業のPERは多少のタイムラグはあってもほぼ同じ数値に収斂されるはずですが、実際にはそのようになっていません。
業績が好調でも株価が低いままの企業がある一方で、利益を上げていない企業の株が非常に高い価格で取引される場合もあります。
このような一見、理不尽で矛盾しているよいな状況を、個別株の投資をされる方であれば、頻繁に目にされていると思います。
このようなことがおきるのは、株価はその株の需要と供給のバランスにより影響され、その需要と供給には、投資家の将来の株価の変動に対する期待や不安が反映されるからと思います。
企業の業績に変化がなくても、投資家の多くが株価が上がると判断すると、株価が上がるというシンプルなことです。
一言で投資家といっても、個人投資家以外にも機関投資家もいますし、短期投資家も長期投資家もいます。
配当目的の人もいれば、キャピタルゲイン目的の人もいます。
仕手筋もいれば、機関投資家が大量取引などによって株価に影響を与えようとする動きもあります。
海外投資家の保有比率が高い銘柄もあります。
このように、様々な立場の投資家がそれぞれの思惑で売買を行うため、その思惑が株価に反映され、その企業の業績と乖離して株価が変動することが頻繁におこるのです。
②株価の変動をどのように予測するのか?
答えになっていないように聞こえるかもしれませんが、株価の変動を予測することは不可能だと思いますし、可能と考えるべきでないと考えます。
では、どのタイミングで株価を購入すべきかといいますと、株価の変動のトレンドに乗って売買するということです。
株価が大きく下がった後に上昇トレンドに変換したことを確認してから購入し、株価が上がった後に下落トレンドに変換したことを確認してから売却するということです。
株価はその株の需要と供給のバランスにより影響され、その需要と供給には、投資家の将来の株価の変動に対する期待や不安が反映されますので、株価の動きにはトレンドがありますので、それを利用して売買することとなります。
つまり、手法としてはテクニカル分析の手法を利用することとなります。
これに対して、「売上総利益の高い成長率を維持できそうな企業を評価するという考えと矛盾しないか」、「テクニカル分析により売買を判断することはリスクが高いのではないか」という疑問を持たれるかと思います。
私自身も株価はトレンドを見て売買するしかないかと思いながら、テクニカル分析により売買を判断することはリスクが高いと考えます。
特に株価の動きを絶えず監視できる環境にある専業トレーダーとは異なり、別に本業がある人にとっては、日中の株価の値動きに即座に反応することは不可能です。
そのため、リスクを減少させるために、以下のような方針で売買しています。
【投資方針】
1.グロース投資
2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。
3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
(成長を見込めない銘柄は候補に含めない)
4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)
5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。
7.決算前に移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。
売上総利益の高い成長率を維持できそうな企業を評価して投資対象の候補するのは、株価の需要に影響するような好材料が多く公表される可能性が高いからです。
同様の理由からビジネスモデルや業界での地位などを考慮して、成長の持続性の見込みも考慮します。
期待を上回る業績や将来の収益貢献に期待できる新規事業の発表などは、事業が安定している企業よりも売上総利益の高い成長率を維持できそうな企業からの方が一般的には多くなります。
但し、そのような将来への期待が既に株価に反映していることも十分考えられ、成長企業への投資の最大のリスクはその状況で株を高値掴みみしてしてしまうことです。
その株が割高か割安かの判定は難しいため、高値掴みのリスクを軽減させるために、株価を大きく下げた後で、株価が上昇トレンドに変換したことを確認してから購入します。
この際に、底値で購入しようと欲張り過ぎると、更に株価が下落するリスクを負うことになりますので、上昇トレンドへの変換の判断は慎重に行うべきです。
リスクを考慮すれば、底値で買う必要はありません。
また、決算発表前も株価に期待が反映し過ぎることが多いため、決算発表前に株価が高くなり、移動平均線から大きく乖離した場合は一旦売却した方が無難です。
これまで、SaaSのような成長企業への投資の判断基準についてお話ししてきました。
10年以上前(米国では更に遡る必要があります)であれば、当期純利益を高くできない企業は評価できないという基準で正しかったと思いますが、インターネットなどのテクノロジーやそれらを活用したビジネスモデルの発展により、その基準だけでは正当な評価ができなくなっています。
PERを重視した投資の考えでは、メルカリやマネーフォワードの赤字上場を理解することはできませんし、netflixのような企業を評価するすることも難しいと思います。
機関投資家の場合は、投資家に対して説明責任がありますので、PERのような一般的な指標を基準に投資したと説明した方が説明しやすいというメリットがあるとは思いますが、個人投資家が自分の余裕資金を投資するのには、説明責任はありませんので、指標に拘泥するのではなく、リスクを意識しつつ、株価のトレンドに柔軟に対応すべきです。
それでもリスクが高いと思う場合は、個別株への投資を避けた方が賢明だと思います。
実際、どのような手法を使ったとしても個別株への投資はリスクが高いですから。
以前にもお話ししましたように、運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
今回はあくまでも、個別株への投資を趣味として紹介いたします。
趣味ですので、全体の投資額の1割以内にします。
趣味ブログ : 個別株への投資(PERを基準にした投資の限界)
趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
個別株のお話しでも、今回は、個別の銘柄のことではなく、投資の判断基準としてよく用いられるPERの問題点について取り上げます。
『PERを重視した投資は見直した方が良いのではないか』という提案をいたします。
PERとは、Price Earning Ratioの略称で、日本語では株価収益率といわれます。
「PER=株価÷1株あたりの利益」ですので、「今の株価が“1株当たりの純利益”の何倍なのか」をあらわすものです。
この倍率が低ければ低いほど、その株は割安と判断し、投資の優先順位を高くするというものです。
これまで私は個別株の銘柄として、マネーフォワードやJD.com(京東商城)のような利益がまだあまりでていない会社を取り上げましたように、投資対象の銘柄選定において、PERを重視していません。
それは、PERを重視した投資には、以下のような問題点があると考えるためです。
⒈ 将来の規模拡大を目的に先行投資をしている成長企業を評価できない。
⒉SaaSのようなビジネスモデルを正当に評価できない。
⒊株価が割安か否かを判別しても株価の変動を予測できない。
1.将来の規模拡大を目的に先行投資をしている成長企業を評価できない。
設立して日が浅い成長企業が、規模拡大を目的とする場合、人材の採用費用、研究開発費用、設備投資費用、広告宣伝費用などに多くの先行投資を行う判断は、将来有望な企業ほど、正当化されるのではないでしょうか。
その結果、費用がかかり、黒字が減ることや赤字を計上することに対して、1株あたりの利益に対する株価で評価するPERではこの先行投資を否定し、短期の収益改善を肯定することとなります。
2.SaaSのようなビジネスモデルを正当に評価できない。
昨今の成長企業は、webサービスを中心とした業態が多く見られます。
「SaaS」(Software as a Service)というビジネスモデルの企業が目立ちます。
SaaSは、ソフトウェアをパッケージで販売するのではなく、インターネットを経由してソフトウェア、サービスを提供するビジネスモデルです。
従量制課金の場合と、利用期間に応じて使用料金を徴収する場合があります。
フリーミアム戦略をとる企業もあります。
以前紹介したマネーフォワードの個人向けの有料サービスは、月額500円を請求するサービスです。
(無料サービスもあり、それはフリーミアム)
NetflixもSalesforceもSpotifyもこのようなモデルです。
このようなSaaSのビジネスモデルの特徴は、主に以下の①〜③があげられます。
① 短期に多くの顧客へのソフト、サービスの提供が可能
パッケージ商品と異なり、都度アップデートが可能であるため、機能追加やバグ対応も含めて短期に提供可能です。
また、販売や流通にかかる時間やコストも省略でき、一般的にコストを抑えることができます。
② 月額の売上が安定
解約されない限りは半永久的に安定的に売上が上がるため、売上高の変動が一般的に少なくなります。
③ 顧客獲得費用の回収に時間がかかる
開発費用、広告宣伝費用などの顧客獲得費用が売上に対して先行しますが、月額少額ずつ回収するモデルですので、その費用の回収に時間がかかります。
③のように顧客獲得費用の回収に時間がかかるため、サービス開始後日が浅い場合は、顧客獲得が順調であっても利益には少なく計上されます。
一方で②のようにサービスが評価され、解約が少ない場合は月額の売上が長期的に安定します。
1株あたりの利益に対する株価で評価するPERでは、②のメリットを評価できず③のデメリットを重視することとなってしまいます。
3.株価が割安か否かを判別しても株価の変動を予測できない。
PERのような指標によって、その時の株価が割安か割高かを判断したとしても、それによって株価の変動を予測することができるのでしょうか。
指標の上で割安とされる株の株価がいつまでも上がらないケース、反対に割高とされる株の株価が更に上がるケースは、頻繁にあります。
同じ業種の企業の株を比較してみた場合に、『何故こちらの会社の方が時価総額が高いの?』と疑問に思った経験が皆さんにもあるかと思います。
『割安な株を長期で保有すれば、必ず株価が上昇する筈だ』という方もいらっしゃるようですが、『その上昇はいつですか? 3年後ですか? それとも10年後ですか?』という疑問がわいてきてしまいます。
株価はその企業の価値だけでなく、将来に対する投資家の期待や不安を反映して形成されます。
また、機関投資家や仕手筋の売買の影響が大きく反映される場合もありますので、株価は様々な思惑に影響されます。
したがって、その株が割安か否かによって、その後の株価の変動を予測することは、難しいと考えます。
このように、PERでは、上場から日が浅い段階でのNetflixのような企業を正当に評価できないばかりか、その後の株価の変動を予測できないという問題点があり、多くの投資家がPERを判断基準として個別株の投資をおこなっている現状には疑問を感じざるをえません。
では、何を判断基準として投資を行えばよいかについては、次回お話しいたします。
以前にもお話ししましたように、運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
今回はあくまでも、個別株への投資を趣味として紹介いたします。
趣味ですので、全体の投資額の1割以内にします。
趣味ブログ:個別株への投資:JD.com(京東商城)2
前回に引き続き、趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
前回、以下の投資方針に基づいて、具体的な銘柄(JD.com)を取り上げ、『3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。』まで、お話ししました。
今回は、それ以降についてお話しします。
【投資方針】
1.グロース投資
2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。
3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
(成長を見込めない銘柄は候補に含めない)
4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)
5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。
7.決算前に移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。
以下の方針に沿って、購入タイミングを考えます。
4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)
5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
以下の図は、ヤフーファイナンスに掲載のJD.comの過去6ヶ月間の株価チャートです。
このチャートのように、JD.comの株価は、3/2の終値の46.21ドルから、3/3の終値の43.8ドルまで急落しました。
その後も下落を続けて、一時34ドル台に落ち込みました。
そして、それから上昇できずに6/2の終値が36.09ドルとなっています。
追記:6/4の取引で、38ドル台に急騰しました。618セールの状況を受けてでしょうか。上昇トレンドになりかけかもしれません。
これは、3/2に発表された2018年第一四半期の決算において、営業利益と純利益がアナリスト予想より悪かったことが原因のようです。
売上高は、アナリスト予想を上回ったようですが、市場は利益がなかなか改善されないことを懸念したようです。
前回お話ししましたように、Tmallとの競争もあり様々な分野に大きな投資をしたことが原因であり、粗利益は順調に伸びているため、営業利益が現在よくないことをそれ程重要視しなくても良いと思います。
更に、より重要なことは、JD.comはECで利益を得る必要のない会社であることです。
アマゾンもECでは利益率が悪く、以前は批判の対象でした。
アマゾンの利益の多くは、ECではなく、クラウド・サーバーのビジネスであるAWS(Amazon Web Services)からもたらされています。
アリババも、EC自体の利益ではなく、ネット広告収入から大きくの利益を得るビジネスモデルです。
また、決済サービスのアリペイなどの金融サービスからも莫大な利益を得ています。
ECは顧客とそのデータを獲得する主な手段であり、そこから、顧客とそのデータを活用して周辺ビジネスから利益を獲得するのです。
JD.comをただの利益率の低い小売業者とみるだけは、その大きな可能性を見誤ると思います。
JD.comの周辺ビジネスについては、アリババほどの成果はでていないものの、子会社のJDファイナンスなどの金融サービスやJDロジスティックによる物流サービスが目立っています。
JDファイナンスは、サプライチェーンファイナンス、消費者金融、クラウドファンディング、アセットマネジメント、決済、保険、証券、マイクロファイナンスなどのネットでの金融サービスを幅広く行っています。
JD.comのECをアマゾンのような直販型とお話ししましたが、より魅力のあるECサイトとするためには、アマゾンのマーケットプレイスと同じように、自社のプラットフォームをサードパーティへ開放しました。
そして、JD.com上で商品を販売する小売店舗に対して融資を行うサービスが初めだったようです。
その融資において、ECビジネスにより獲得したビックデータを使用したアルゴリズムによって、数分で無担保によって、融資を行うサービスを実現しました。
その後、融資をECビジネスの小売業者以外にも対象を広げたり、消費者への販売時のローンビジネスや商品に対する有償の保険サービスの提供などビジネスを拡大しているところです。
また、JDファイナンスは、KPMGが発表したフィンテック企業の2017年世界ランキングのトップ10の1社として選ばれました。
このような背景の中で、株価を大きく下げたことにより購入のチャンスが生まれたと考えます。
しかしながら、最近の株価のトレンドを見る限りは、下降トレンドから脱して、上昇トレンドになったとは言いがたい状態です。
ここで安いと考えて安易に飛びつくと、更なる下落がおきた場合に痛手となる恐れがありますので、
上昇トレンドへの変換を慎重に見定めてからの購入をすべきです。
これまで見てきましたように、個別株の株価の変動には不確定要素が多く、分散効果も十分に働きにくいため、個別株への投資はリスクが高いため推奨しません。
運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資を趣味として紹介いたします。
もし、皆様が個別株に投資する場合でも、その結果が全体の運用結果に大きな影響がでない範囲に留めるべきです。
趣味ブログ:個別株への投資:JD.com(京東商城)
今回も、趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
今回は、具体的な銘柄としてJD.com(京東商城)を取り上げます。
【投資方針】
1.グロース投資
2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。
3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
(成長を見込めない銘柄は候補に含めない)
4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)
5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。
7.決算前に移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。
1.グロース投資
JD.comは、中国でEコマース事業を展開しています。
中国のBtoCのECではアリババの運営する天猫(Tmall)がマーケットシェア第1位ですが、アリババは、楽天のようにマーケットプレイス型であるのに対し、JD.comはアマゾンのように「直販型」となっており、売上はアリババより多いです。
中国の直販の通販サイトの5割以上のシェアです。
Tmallは、自社モール内で他の会社が販売することのサポートを行っているのに対し、JD.comは、自社モール内にて、主に自社名義の商品を販売しています。
総収入に占める自社名義の商品販売の比率が約9割と高い状態となっています。
2004年に会社が創設され、2014年にNASDAQに上場しました。
業績推移を見てみます。
以下のように、2017年の売上高は3,623億元(6.18兆円)と、前年実績から約39%の増加率で、毎年同程度の高い成長率を達成しています。
日本企業の2017年度の実績でみると、売上高が6兆円を超える企業は15社しかありませんでした。
更に、これだけの規模になりながら、毎年4割近い成長率を維持しているのです。
2018年の第1四半期の売上高は、前年同期比約33%増の1,001億元(1.7兆円)でしたが、市場予測よりも高い実績でした。
アリババとの販売競争や物流・システムなどへの投資に費用がかさんでいるため、営業利益は赤字が続いていましたが、2016年にようやく黒字となりました(Non-GAAPベース)。
資料は同社より発表がありました決算説明資料のものです。
2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。
売上高や顧客数を順調に伸ばしていますが、先行投資が優先される段階でなかなか利益が出ておりません。
そのため、投資家からの評価は高くはなく、株式の時価総額はアリババの10分の1以下です。
中国の小売市場は既に巨大な規模になりながら、EC化率も伸びており、Eコマース市場はますます成長しています。
中国も今後、日本のように高齢化社会となるといわれていますが、当面は高い成長率を維持できそうです。
JD.comは、月間アクティブユーザー数10億人超を誇るスマートフォン向けチャットアプリ「WeChat」を運営するテンセントの出資を受けており、テンセントから様々な協力を得てTmallに対抗しています。
JD.comとTmallとの競争は、中国で株式時価総額第1位を争う、テンセントグループとアリババグループとの戦いともいえます。
これまでのWeChatや決済機能のWeChat Payを活用した集客に加え、現在中国内で爆発的人気のWeChatミニプログラムも販促に活用されています。
WeChatミニプログラムとは、ダウンロードやインストールせずに閲覧利用できるWeChatアプリ内アプリです。
ミニプログラムでは、情報収集、EC、チケット予約、配車、デリバリー、飲食店での注文など様々なシーンで利用されています。
ミニプログラムは2017年から開始されたばかりにも関わらず、月間アクティブユーザー数が4億人を超えています。
このように、テンセントの協力を今後も期待できると思います。
それに留まらず、ウォルマートとも資本提携を行い、強力な味方を加えました。
3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
売上高は、着実に伸びていますが、Tmallと激しい競争をしつつ、今後利益を増やしていけるかが、株価の上昇にとって重要になってくると思います。
規模の拡大とともに、粗利率も年々向上しており、2017年には13.8%にまでなっています。
アリババとの販売競争や物流・システムなどへの投資に費用がかさんでいるため、営業利益は赤字が続いていましたが、2016年にようやく黒字となりました(Non-GAAPベース)。
市場でのポジションについてですが、業界第1位のTmallのシェアが約60%、業界第2位のJD.comのシェアが約25%で、1位との差はまだ大きいですが、安定した2位です。
しかも、同社は上記のようにテンセントの協力を得られる上に、アマゾンと同じ直販モデルの強みを活かして、模造品対策を徹底することや物流の強化により差別化を図っています。
また、海外企業との取引の拡大、子会社の物流会社による他社販売商品の配送の請負、無人倉庫、無人スーパーや無人レストランの展開による新たな収益源を求める動きを活発に行っています。
その他、ドローンや無人トラックによる配達などの新しい実験にも着手しています。
このように、JD.comを投資先の候補として検討しました。
成長性に関しては、突出したものがありますが、利益率の向上を注視する必要があります。
購入のタイミングについては、これまでと同様に以下の方針に沿って、次回お話しします。
4..投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
5..底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。
7.決算前に値上がりし、移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。
なお、再度お話ししますが、運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
個別株への投資を趣味として紹介いたします。
もし、皆様が個別株に投資する場合でも、その結果が全体の運用結果に大きな影響がでない範囲に留めるべきです。
趣味ブログ:個別株への投資〜マネーフォワード5
趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
以前、具体的な銘柄として、マネーフォワードを計4回にわたり取り上げましたが、先週同社より仮想通貨交換業への参入について発表がありました。
それを受けて株価が高騰しましたので、その参入の意味することと、ならびに株価高騰の理由について、私なりの解釈をお話ししたいと思います。
今回の同社の主な発表内容は以下のとおりです。
①新会社の設立
ブロックチェーン領域のビジネスを行う新会社「マネーフォワードフィナンシャル(以下、MFフィナンシャル)」を設立した。
②仮想通貨取引所を開設予定
MFフィナンシャルは、年内にも仮想通貨取引所を始める予定。既に金融庁へ仮想通貨交換業の登録を申請済みで、既に金融庁とビジネスモデルについての意見交換を行っている。
③セキュリティを最優先
セキュリティ面を最優先とし、ウォレット運用はできるだけコールドウォレットで管理し、マルチシグについても業界動向を見つつ最高レベルのセキュリティを実現できるよう随時検討する。
④取り扱い通貨
取り扱う仮想通貨は当初「ビットコイン」「ビットコインキャッシュ」「イーサリアム」の3種類を予定しており、ウォレットアプリを新規に開発する。
⑤仮想通貨へのアクセス性の向上
できるだけ多くのユーザーに仮想通貨を使ってもらうため、手数料もできるだけ安く、ユーザーからのアクセス性も高める。
⑥全てのプロセスでのソリューションの提供
今夏をめどに、仮想通貨やブロックチェーンに関するニュースや国内外の取引所の価格情報を比較できるメディア事業を始める。
その後の仮想通貨の送金・決済プラットフォームの構築も見据え、仮想通貨に関する「知る(メディア)」「交換する(交換所)」「利用する(送金・決済)」「管理する(資産管理)」「申告する(確定申告)」というすべてのプロセスでソリューションを提供し、ユーザーにとって利便性の高いサービスを今後も追及していく。
⑦会員獲得目標
仮想通貨取引所を開始後、1年で約300万人の会員獲得を目指す。
⑧外部機関とのデータ連携
他の仮想通貨取引所の保有残高や取引履歴のデータ連携を強化し、現在の3の取引所とのデータ連携から約20の取引所へと拡大し、マネーフォワードのサービス内で仮想通貨の保有残高や取引履歴を確認できるようにする。
全国の金融機関のユーザー向けにブロックチェーン・仮想通貨サービスの提供を目指す。
⑨仮想通貨取引に関わる確定申告のサポート強化
これらの連携により取得した取引データと外部企業が提供する損益計算ツールを連携させ、マネーフォワードが提供する「MFクラウド確定申告」で申告書の自動作成も可能とする。
⑩ブロックチェーンにおけるイノベーションの拠点作り
3年間で100名規模の仮想通貨人材を採用・育成するほか、海外のコミュニティとの連携を進め、ブロックチェーンにおけるイノベーションの拠点となる。
今回の発表内容について、今流行りで収益性が高いとされる仮想通貨取引所の開設のニュースが注目を集めていますが、最も重要なことは、交換・送金・決済を含む全てのプロセスでのソリューションでのソリューションを提供する意向を具体的な取り組み内容を説明することにより明確にしたことであったと考えます。
(出所:マネーフォワード作成資料)
これまでもメガバンクとの更新系API連携を先駆けて行うなど、オープンAPIへの対応に積極的姿勢を示し、新しい金融サービスを担うフィンテック企業の代表として期待されてきました。
しかしながら、主なサービス内容は資産管理と確定申告に関するサービスに留まり、世間一般からは、家計簿アプリとクラウド会計サービスの会社という認識しか持たれていなかったと思います。
(実際には、企業に対する融資や決済のサービスは始めていますが)
オープンAPIは、金融機関と外部の事業者との間の安全なデータ連携を可能にする取組みで、これまで金融機関だけでは実現できなかった様々なアイデアの金融サービスを、外部の事業者が金融機関と連携することで促進していこうとする取り組みです。
ログインIDやパスワードを外部の事業者に預けることなく、利用者自身が銀行のシステムを通して、利用したいサービスに対してデータ連携に関する許可を与えるため、安全かつ正確なデータ連携が可能な仕組みとなっています。
(出所:全国銀行協会ホームページ)
マネーフォワードは、既にメガバンクを含む多くの金融機関とのAPI連携を始めていまして、最終的にはほぼ全ての金融機関との連携を考えていると思います。
(出所:マネーフォワード作成資料)
更に同社の資金管理・確定申告などのサービスの会員を更に増やし、ある程度支配的な地位を築くことで、金融機関のサービスを利用する場合はマネーフォワードのサービスを経由して行うような仕組みの定着を目論んでいるのではないでしょうか。
そのように、金融サービスのハブとなることにより、様々なビジネスチャンスが生まれてくるという構図です。
(出所:マネーフォワード作成資料)
それに仮想通貨でのワンストップサービスが加わると、金融機関を通さずに同社独自のサービス提供も可能です。
資金管理・確定申告サービスを通じて、多くの個人・法人ユーザーの収支状況のデータを保有しているのは、大きな強みてあると思います。
今後、同社より様々なサービスや外部連携についての発表があるにつれて、世間一般の認識も更に変わってくると思いますので、同社の動向は興味深いものとなったと思います。
今回、マネーフォワードの個別株についてお話ししましたが、個別株の株価の変動には不確定要素が多く、分散効果も十分に働きにくいため、個別株への投資はリスクが高いため推奨しません。
運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資を趣味として紹介いたします。
もし、皆様が個別株に投資する場合でも、その結果が全体の運用結果に大きな影響がでない範囲に留めるべきです。
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趣味ブログ:個別株への投資:セリア2
前回に引き続き、趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
前回、以下の投資方針に基づいて、具体的な銘柄(セリア)を取り上げ、『3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。』まで、お話ししました。
今回は、それ以降についてお話しします。
【投資方針】
1.グロース投資
2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。
3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
(成長を見込めない銘柄は候補に含めない)
4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)
5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。
7.決算前に移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。
以下の方針に沿って、購入タイミングを考えます。
4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)
5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
以下の図は、ヤフーファイナンスに掲載のセリアの過去6ヶ月間の株価チャートです。
前回もお話ししましたが、このチャートのように、セリアの株価は、ピーク時の約7,400円から、1月上旬から急落し、3月中旬には5,000円を割りました。
この急落の原因は既存店売上高の悪化といわれています。
2017年4月から12月までは、既存店売上高が、前年同月比で悪化したのは2017年10月だけでした。
しかし、2018年になってから、1月、2月連続で前月実績を割り込み、更に2月は1月よりも前年同月比が悪化したのです。
そのため、それまで、セリアが成長企業であると信じていた投資家が、同社の成長性に疑問をもった結果により、株価が急落したのです。
私がセリアに目をつけたのは、『確かに成長性に疑問が生じたのは当然だが、一時的な原因である可能性もあるのではないか。そして、成長性に疑義があったにしても売られ過ぎではないか』と考えたからです。
確かに既存店売上高は重要です。
しかしながら、2ヶ月連続で前年同月比で悪化したとはいえ、今後もその傾向が続くとは限りません。
また、それでも平成30年度決算では、上半期が好業績であることもあり、通期の決算は、会社予想や証券会社から開示されるコンセンサスから、それ程は悪くはならないのではないかと考えました。
購入のタイミング
そのため、下落トレンドは一時的であり、その後株価は上昇していくと予測して、底値から上昇トレンドに変換するのを待ちました。
3月下旬に25日移動平均線を超えたあたりで、約5,100円で上昇トレンドに変換したとみて購入しました。
上昇トレンドへの変換を確認する際に、ゴールデンクロス(5日移動平均線が25日移動平均線を下から上に突き抜けること)がよく使用されますが、個人的にはこれだと購入が遅くなる場合があると考えています。
今回のゴールデンクロスは、3/30だったのですが、この時には株価が5,300円を超えていました。
25日移動平均線とローソク足でタイミングを判断するのが好みです。
その後、少しずつ値を上げていき、5月上旬には一時5,500円を超えました。
売却のタイミング
5/7に4月の月次の実績の開示があり、既存店売上高は前年同月比よりも悪化でした。
これで、これで4ヶ月連続で既存店売上高は前年同月比よりも悪化となり、回復の兆しは確認できない状況が続いていました。
翌日この発表を受けて株価がやや下落しました。
前年同月比実績割れに投資家が慣れてきたのか、大きな反応はなくなってきていました。
通常では、その後、下落トレンドに変換することを確認してから売却となりますが、5/17の通期の決算発表を控えて、決算発表まで売却せずに持ち越すか否かの判断をしなければなりませんでした。
その結果、5/9に5,400円付近で売却しました。
決算発表まで株を保有したまま持ち越すことを『決算ギャンブル』と言われ方もします。
これは、決算発表の内容によって、その後株価が大きな変動するリスクが、比較的高くなるからです。
月次の実績の開示がされるのは、小売業などの限られた業界だけですが、仮に月次の実績の開示があった場合でも決算発表は、多くても年間4回しかありません。
そのため、その会社に投資している人、投資を検討している人の関心が自ずと高くなります。
そのなかでも、通期の決算発表への注目は最も高くなります。
投資家の期待よりも業績が良かった場合は、株価が上昇する可能性が高いですし、反対に期待に達したなかった場合は、業績が悪くなさそうでも株価が下落する可能性が高くなります。
いずれの場合でも注目度が高いため、値動きが大きくなりがちで、リスクが高くなります。
投資家の期待に対して、業績が良かったか否かをみる場合、会社の業績予想や証券会社が公表するコンセンサス予想に対して業績がどうだったかを比較することが良くあります。
『昨年度よりも○%増益でしたが、コンセンサス予想より当期利益が少なかったため、株価が下落しました。』というニュースは頻繁にあります。
しかし、会社予想やコンセンサス予想は頻繁に見直しされるわけではありませんので、決算発表直前の投資家の期待水準を正確に把握することはできません。
このことも、決算発表後の株価の変動を予測することが困難である要因の一つです。
次の年度(決算発表時点ては今年度)の会社予想の見直しがある場合も、それとこれまでの会社予想やコンセンサス予想との比較により、株価が変動するリスクがあります。
また、個人投資家が、決算発表の内容を、インサイダー情報でもない限り、事前に知ることは不可能に近い一方で、機関投資家は何らかの情報を事前に入手できる可能性があり、個人投資家により不利となります。
このように、決算発表をまたいで、株を保有することはリスクがあります。
特に、今回のセリアのように、特にいいニュースがないにも関わらず、株価が上昇しているケースは、株価に投資家の期待がより多く反映されていると考えられるため、期待を裏切った場合の株価下落リスクが大きくなります。
反対に、保有株を一旦売却して現金に変えた場合、他の銘柄も含めて、決算発表後の株価の変動をみて、株価が下落し過ぎではないかという株に注目し、再び上昇トレンドに変換した時に買いを入れる選択肢が増えることになります。
場合によっては、決算発表前に売却した銘柄を、また買い直すことも選択肢に含まれます。
このように決算発表をまたいだ株の保有にリスクを抱えながら、株を保有する価値があるかを改めて考えた場合、既存店売上高が前年同月実績を下回っている状況に変化がなく、成長株でなくなったのではないかという疑念を払拭する材料は見当たりません。
株価も3月に底値を打って以降、特によいニュースもない中で、緩やかながら上昇を続けていることもリスク要因でした。
このような理由から、決算発表を前にして売却することを決めました。
その後、決算発表前に約5,300円までにやや下落した後、決算発表後に約5,000円まで一旦下落しましたが、その後5,300円あたりまで回復し、存外に安定した値動きでした。
決算発表では、昨年度の通期の実績が過去最高ながら、会社予想とコンセンサス予想に達しませんでした。
また、以下のように、今年度の当期利益の会社予想を前年度比の3.4%と発表するなど、成長株と言いがたい発表内容でした。
同時に大幅な増配を発表したことにより、株価の下落を抑えることに成功し、今後も比較的安定した値動きが期待できますが、グロース投資の投資先としては相応しくなくなったため、会社予想のような業績となるのであれば、今後購入の候補に入れることはないかと思っています。。
これまで見てきましたように、個別株の株価の変動には不確定要素が多く、分散効果も十分に働きにくいため、個別株への投資はリスクが高いため推奨しません。
運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資を趣味として紹介いたします。
もし、皆様が個別株に投資する場合でも、その結果が全体の運用結果に大きな影響がでない範囲に留めるべきです。
趣味ブログ:個別株への投資:セリア
今回も、趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
前回は、具体的な銘柄としてベクトルを取り上げましたが、今回はセリアです。
【投資方針】
1.グロース投資
2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。
3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
(成長を見込めない銘柄は候補に含めない)
4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)
5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。
7.決算前に移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。
1.グロース投資
(株)セリアは、岐阜県大垣市を拠点に、全国展開する100円ショップです。
業界第2位で、全国に1,424店舗を展開しています。(2018年3月末現在)
上場したのは2003年です、有名な『テンバガー』(株価が10倍に値上がりすること、またはその銘柄)です。
『セリアへの投資は、グロース投資なのか?』という疑問を持たれる方もいらっしゃるとは思います。
私もグロース投資かについては確信がないまま購入しました。
購入に至った経緯については、後程お話ししますが、最終的には成長株ではなくなったと判断して手放しました。
業績推移を見てみます。
以下のように、売上高も営業利益とも業績を伸ばしていますが、29年から30年にかけて、やや伸びの鈍化があらわれました。
資料はセリアより、5月17日に発表があった『平成30年3月期 決算説明資料』のものです。
2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。
前述のように、売上高も営業利益とも業績を伸ばしていますが、29年から30年にかけて、やや伸びの鈍化があらわれました。
小売業は比較的業績が安定していますので、継続して売上高、営業利益を伸ばしている小売業者は、ストック型ビジネスについで、私の好みです。
そのなかでも、セリアは着実に業績を伸ばしてきました。
100円ショップという業態もデフレが続くなかで、消費者の支持を広く集めてきました。
3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
売上、営業利益は、着実に伸びていますが、伸びが鈍化してき始めているように見えますので、今後グロース投資対象としてみてよいかが、投資するか否かの判断基準になると思います。
売上高営業利益率も鈍化してきているように見受けられます。
小売業の多くの会社は、月次で売上高や出店状況を公表していますが、同社も同様です。
投資家は、月次の売上高のトレンドをみて、悪化傾向がみられる場合は、売りの判断をしますが、通常の売上高だけでなく、既存店の売上高を重要視します。
売上高が伸びていても、既存店売上高が前年同月比や前月比で悪化している場合、グロース投資対象としてみていた場合は、売りと判断するケースが多いです。
(季節変動によって前月より悪い場合や一時的な悪化てあると説明がつく場合は例外です。)
実は、セリアの株価は、ピーク時の約7,400円から、1月上旬から急落し、3月上旬には5,000円を割りました。
この急落の原因は既存店売上高の悪化といわれています。
2017年4月から12月までは、既存店売上高が、前年同月比で悪化したのは2017年10月だけでした。
しかし、2018年になってから、1月、2月連続で前月実績を割り込み、更に2月は1月よりも前年同月比が悪化したのです。
そのため、それまで、セリアが成長企業であると信じていた投資家が、同社の成長性に疑問をもった結果により、株価が急落したのです。
詳細は次回お話ししますが、私がセリアに目をつけたのは、確かに成長性に疑問が生じたのは当然だが、一時的な原因である可能性もあること、それにしても売られ過ぎではないかと考えたからです。
市場でのポジションについてですが、業界第1位のダイソーの売上の約3分の1ではありますが、業界第3位の企業の約2倍の売上高ですので、安定した2位です。
しかも同社は他社と比べて遅れて全国展開しましたが、100円ショップらしからぬオシャレな店舗や以前は100円ショップには珍しかった綿密な売上データ分析に基づく商品開発、発注・在庫管理を推し進めてシェアを伸ばしてきて勢いのある存在とみられていました。
このように、セリアを投資先の候補として検討しました。
着実な成長を積み上げていますが、成長性に疑問が生じてきていますので、その辺りの見極めが重要となると思います。
株価の急落を受けて、株の購入タイミングも含めてどのように、私が考えたのか、これまでと同様に以下の方針に沿って、次回お話しします。
4..投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
5..底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。
6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。
7.決算前に値上がりし、移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。
なお、再度お話ししますが、運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
個別株への投資を趣味として紹介いたします。
もし、皆様が個別株に投資する場合でも、その結果が全体の運用結果に大きな影響がでない範囲に留めるべきです。