ガネーシャ@FPのお金をふやそうBlog

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趣味ブログ : 個別株への投資(PERを基準にした投資の限界)2

趣味のブログとして、個別株を取り上げます。

前回、投資の判断基準としてよく用いられるPERの以下の問題点について取り上げ、『PERを重視した投資は見直した方が良いのではないか』という提案をいたしました。


⒈ 将来の規模拡大を目的に先行投資をしている成長企業を評価できない。

SaaSのようなビジネスモデルを正当に評価できない。

⒊株価が割安か否かを判別しても株価の変動を予測できない。


今回は、その続きで、『PERでないなら、何を判断基準として投資を行えばよいか』について、お話しいたします。

このような企業を評価する方法として、有名な方法を2つご紹介します。
「40%ルール」と「PSR(株価売上高倍率)」です。


①40%ルール
米国において、SaaSなどのベンチャー企業を評価する基準として、「40%ルール (The Rule of 40%)」というものがあります。

ベンチャー企業では(SaaSならなおさら)、将来の規模拡大を目的に先行投資をしているため、利益がでていない状況を正当に評価しようと試みる基準です。

『売上高の前年比成長率+営業収益率 >40% が望ましい』というものです。

例えば、売上高の前年比成長率が80%であれば、営業利益率がマイナス40%であっても、合計40%となるため、投資して大丈夫」というものです。
(流石にこれだけで判断して投資するわけではありませんが、赤字を許容する理由には使えるということだと思います。)

この売上高の前年比成長率のところは、月額の定額料部分の売上高の前年比成長率に置き換えるやり方もあるようです。

そして、営業収益率の部分はFCF(フリーキャッシュフロー)マージンに置き換える見方などもあるようです。

FCFとは、企業が稼いだお金から企業が活動するのに必要なお金を差し引いた、企業の事業活動から株主や債権者に対して、株主還元などに企業が自由に使うことができるお金のことです。

フリーキャッシュフローは、キャッシュフロー計算書の中の「営業活動によるキャッシュフロー」と「投資活動によるキャッシュフロー」を足し合わせることで計算できます。

大まかにいえば、 まず本業で稼ぎ出したお金があり、そこから設備投資などに使った分を差し引いて、残りのお金が「投資家に自由に還元できるお金(フリーキャッシュフロー)」になる、ということです。

計算式は、『FCF =税引後営業利益+減価償却費-設備投資増加額-運転資金増加額』です。

FCFマージンは、『= FCF/売上高 』%です。

その他にも置き換えされる場合がありますか、重要なことは、PERと比較して、直近の業績にとらわれることなく、その事業の将来の利益を生み出す力を評価しようというものです。



②PSR(株価売上高倍率)

40%ルールの他にスタートアップ企業の評価指標としては、PSRが有名です。

PSRは主に赤字の会社(未上場会社やベンチャー企業など)の割高・割安を測る指標として活用されています。

計算式は、『PSR = 株式時価総額 ÷ 売上高』です。

例えば、PSRは20倍以上なら割高、0.5倍以下なら割安というようにみていくのですが、注意点があります。

利益率が高い企業ほど割高になり、利益率が低い企業ほど割安に見えてしまいます。

製造業のように比較的利益率が低い業種の場合、売上高は高い一方で利益がほとんど出ていないという状態が少なくありませんが、売上高が高い金額が高いためPSRが低くなり「割安」と見えてしまいがちです。

一方で、IT企業のように利益率が高い業種の場合、原価がほとんどかからず、利益は多く出ているのにもかかわらず、売上が極端に小さいという場合にPSRが高くなり「割高」に見えてしまう恐れがあります。

このような問題点があるため、PSRを絶対的な指標とはみずに、同じ業種の会社間で比較することや、時系列でPSRの推移を見るという見方になると思います。

使い方に制限がありますが、PERでは評価できないスタートアップの赤字企業が将来の利益を生み出す力を評価しようというものです。



このように40%ルールとPSRを見てきました。

PSRについては、シンプルでわかりやすい点がメリットですが、使い方の制限が大きいため、40%ルールの考え方を私は参考にしています。

但し、営業利益もFCFも成長性のあるスタートアップ企業が創業間もない時期に必要な人件費や広告宣伝費もマイナスに評価してしまうため、売上総利益に置き換えるのが好みです。

つまり、毎年の売上総利益の成長率が高い企業に注目し、その企業の成長率の推移をみて順調に成長しており、今後もその成長が維持できそうであれば評価するという考えです。


ところで、まだ特定の企業を評価しても、その企業の今後の株価の変動を予測できないのでは、ないかという問いに対しての対応方法をお話ししていませんでした。

今後の株価の変動を考えるために重要な視点を2つ紹介いたします。

①企業が成長すれば株価は上がるのか?

②株価の変動をどのように予測するのか?


①企業が成長すれば株価は上がるのか?

PERに限らず指標を投資の判断基準とする場合、その指標の数値がよくなれば投資対象とするというような考え方があると思います。

企業が成長し、利益を多くあげることができれば、PERが低くなるという具合です。

40%ルールにおいても、例えば、企業が成長して40%に達したら投資対象としようということです。

はたして、企業が成長すればそれに伴い株価は上がるのでしょうか。

仮に、PERが低くなるとそれに伴い株価が上がるのであれば、多くの企業のPERは多少のタイムラグはあってもほぼ同じ数値に収斂されるはずですが、実際にはそのようになっていません。

業績が好調でも株価が低いままの企業がある一方で、利益を上げていない企業の株が非常に高い価格で取引される場合もあります。

このような一見、理不尽で矛盾しているよいな状況を、個別株の投資をされる方であれば、頻繁に目にされていると思います。

このようなことがおきるのは、株価はその株の需要と供給のバランスにより影響され、その需要と供給には、投資家の将来の株価の変動に対する期待や不安が反映されるからと思います。

企業の業績に変化がなくても、投資家の多くが株価が上がると判断すると、株価が上がるというシンプルなことです。

一言で投資家といっても、個人投資家以外にも機関投資家もいますし、短期投資家も長期投資家もいます。

配当目的の人もいれば、キャピタルゲイン目的の人もいます。

仕手筋もいれば、機関投資家が大量取引などによって株価に影響を与えようとする動きもあります。

海外投資家の保有比率が高い銘柄もあります。

このように、様々な立場の投資家がそれぞれの思惑で売買を行うため、その思惑が株価に反映され、その企業の業績と乖離して株価が変動することが頻繁におこるのです。


②株価の変動をどのように予測するのか?

答えになっていないように聞こえるかもしれませんが、株価の変動を予測することは不可能だと思いますし、可能と考えるべきでないと考えます。

では、どのタイミングで株価を購入すべきかといいますと、株価の変動のトレンドに乗って売買するということです。

株価が大きく下がった後に上昇トレンドに変換したことを確認してから購入し、株価が上がった後に下落トレンドに変換したことを確認してから売却するということです。

株価はその株の需要と供給のバランスにより影響され、その需要と供給には、投資家の将来の株価の変動に対する期待や不安が反映されますので、株価の動きにはトレンドがありますので、それを利用して売買することとなります。

つまり、手法としてはテクニカル分析の手法を利用することとなります。

これに対して、「売上総利益の高い成長率を維持できそうな企業を評価するという考えと矛盾しないか」、「テクニカル分析により売買を判断することはリスクが高いのではないか」という疑問を持たれるかと思います。

私自身も株価はトレンドを見て売買するしかないかと思いながら、テクニカル分析により売買を判断することはリスクが高いと考えます。

特に株価の動きを絶えず監視できる環境にある専業トレーダーとは異なり、別に本業がある人にとっては、日中の株価の値動きに即座に反応することは不可能です。

そのため、リスクを減少させるために、以下のような方針で売買しています。

【投資方針】

1.グロース投資

2.投資対象は売上が安定して見込めるもの。

3.ファンダメンタルの要素を確認し、投資先候補を絞り込み。
(成長を見込めない銘柄は候補に含めない)

4.投資先候補の銘柄をウォッチングし、大きく価格を下げた後の底値付近を狙う。
(ただし、業績の悪化などのファンダメンタルの要素が原因の場合は除く)

5.底値での投資を追求し過ぎずに、株価の上昇トレンドへの変換を確認した後で、投資する。

6.価格のピークでの売却を意識し過ぎず、下降トレンドへの変換の確認後、売却する。

7.決算前に移動平均線から大きく乖離した場合には一旦売却する。


売上総利益の高い成長率を維持できそうな企業を評価して投資対象の候補するのは、株価の需要に影響するような好材料が多く公表される可能性が高いからです。

同様の理由からビジネスモデルや業界での地位などを考慮して、成長の持続性の見込みも考慮します。

期待を上回る業績や将来の収益貢献に期待できる新規事業の発表などは、事業が安定している企業よりも売上総利益の高い成長率を維持できそうな企業からの方が一般的には多くなります。

但し、そのような将来への期待が既に株価に反映していることも十分考えられ、成長企業への投資の最大のリスクはその状況で株を高値掴みみしてしてしまうことです。

その株が割高か割安かの判定は難しいため、高値掴みのリスクを軽減させるために、株価を大きく下げた後で、株価が上昇トレンドに変換したことを確認してから購入します。

この際に、底値で購入しようと欲張り過ぎると、更に株価が下落するリスクを負うことになりますので、上昇トレンドへの変換の判断は慎重に行うべきです。

リスクを考慮すれば、底値で買う必要はありません。

また、決算発表前も株価に期待が反映し過ぎることが多いため、決算発表前に株価が高くなり、移動平均線から大きく乖離した場合は一旦売却した方が無難です。

これまで、SaaSのような成長企業への投資の判断基準についてお話ししてきました。

10年以上前(米国では更に遡る必要があります)であれば、当期純利益を高くできない企業は評価できないという基準で正しかったと思いますが、インターネットなどのテクノロジーやそれらを活用したビジネスモデルの発展により、その基準だけでは正当な評価ができなくなっています。

PERを重視した投資の考えでは、メルカリやマネーフォワードの赤字上場を理解することはできませんし、netflixのような企業を評価するすることも難しいと思います。

機関投資家の場合は、投資家に対して説明責任がありますので、PERのような一般的な指標を基準に投資したと説明した方が説明しやすいというメリットがあるとは思いますが、個人投資家が自分の余裕資金を投資するのには、説明責任はありませんので、指標に拘泥するのではなく、リスクを意識しつつ、株価のトレンドに柔軟に対応すべきです。

それでもリスクが高いと思う場合は、個別株への投資を避けた方が賢明だと思います。

実際、どのような手法を使ったとしても個別株への投資はリスクが高いですから。

以前にもお話ししましたように、運用としてはインデックスファンドへの投資をお勧めしております。

個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。

今回はあくまでも、個別株への投資を趣味として紹介いたします。

趣味ですので、全体の投資額の1割以内にします。