趣味ブログ:個別株への投資:メタップス3
前回に引き続き、趣味のブログとして、個別株を取り上げます。
個別株への投資は、分散効果が十分に働きにくいため、リスクが高いため推奨しません。
前々回、前回と、具体的な銘柄(メタップス)について、2回にわたりお話ししました。
通常ですと、メタップスについてはそれで終了となるのですが、6/26に株価が高騰し、更に好材料のニュースが公表され、PTSでも株価上昇していた状況でしたので、ブログ更新のタイミングが悪く(注目度で言えばある意味タイムリー)、消化不良の面もあったということで、メタップス第3弾の記事として、QRコード決済の競争環境について取り上げたいとお話ししました。
そこで今回はQRコード決済の競争環境について取り上げたいとお話しいたします。
メタップスは、以下のように、実店舗でのQRコード決済事業を発表しました。
お金コミュニケーションアプリ「pring(プリン)」 加盟店舗でのQRコード決済をいよいよ開始。決済手数料は業界最安値の0.95% https://t.co/pXLlgS9dIm @PRTIMES_JPより
— ガネーシャ@FP (@ganesa_FP) 2018年6月26日
ニュースリリースによると、主なサービス内容は以下のとおりです。
■対象店舗
募集対象は、以下の条件を満たす飲食店や小売店など、すべての業種を対象。
【お申し込みにあたっての条件】
・実店舗での決済であること
・法人であること
※オンライン決済、及び個人事業主についてはただいま準備中。
■お金コミュニケーションアプリ「pring(プリン)」とは
pring(プリン)は、お金を「おくる、もらう、はらう、チャージ、口座に戻す」をすべて無料で完結できるお金コミュニケーションアプリ。
主な特長として、
1) 無料での銀行口座から本アプリへのリアルタイムチャージ、
2)本アプリのユーザー同士による1円単位でのリアルタイム送受金、
3)QRコードやバーコードの読み取りによる本アプリ加盟店での決済、
4)振込手数料無料で本アプリから自身の銀行口座へお金の戻入れ、 等がある。
■料金は
「pring(プリン)」を通しての決済手数料は、業界最安値の0.95%。
初期・月額費用が全て無料で、タブレットをお持ちでない店舗では紙QRの対応可能。
確かに、手数料が業界最安値の0.95%で初期・月額費用が無料というのは、インパクトのある設定だと思います。
また、全ての業種に安い料金を提供することと、準備中とはいえ、オンライン決済も個人事業主も対象ということですので、加盟店サイドからみると相当魅力的なサービスではないでしょうか。
これを受けて、早くも「pring(プリン)」が相当シェアをとるのではないかという意見の人も多いようですが、本当にそうでしょうか。
そういっている間に、何とLINEから3年間決済手数料0円のリリースがきました。
なかなか、目まぐるしい状況ですね。
LINE Pay、決済手数料ゼロに。小規模店のキャッシュレス化推進 QRコード限定 https://t.co/xEZDwz4UfY @engadgetjpより
— ガネーシャ@FP (@ganesa_FP) 2018年6月28日
LINEとメタップスも含めて、主なQRコード決済事業への参入プレーヤーを軽く整理してみます。
① LINE : LINEペイ コード支払い
LINEのアクティブユーザー7,500万人が最大のアドバンテージです。
それを利用して既にLINEペイの口座開設者は3,000万人に達しているそうです。
決済だけでなくLINEの友だちに送金が無料でできることが特徴です。
今後も口座開設数は順調に伸ばしていくと思われます。
それをテコにして加盟店を増やす戦略だと思いますが、あえて懸念点をあげると、今後加盟店として、積極的に獲得していく必要がある中小のリアル店舗に対する営業販路と営業経験が不足していることです。
その懸念点をカバーするための、3年間決済手数料0円だと思います。
② 楽天 : 楽天ペイ QRコード
楽天も楽天会員(アクティブユーザー以外も含む)9,000 万人が大きなアドバンテージです。
また、楽天銀行の口座開設数が650万を超えているのも強みになります。
楽天ペイの口座開設者数については、具体的な数は確認できませんでしたが、これらを活用して相当増やしてきていると思います。
また、楽天ペイについては、他社のサービスよりも先行して開始したことも優位につながっていると思います。
楽天も、LINEと同様にこれらをテコにして加盟店を増やす戦略だと思いますが、楽天のHP等の情報をみる限り、具体的な数値は公表されていないものの、加盟店数に関しては、いまのところ、他社よりも多い数を獲得できている模様です。
LINEには不足していると前述しました、中小のリアル店舗に対する営業販路と営業経験については、楽天は反対に強みになっていると思います。
EC事業において、楽天はアマゾンにおされているという印象があるかもしれませんが、HPのインターフェース、加盟店のクオリティー、配送のスピード、価格についての満足度において、かなり以前よりアマゾンに大きく差をつけられている状態でも、取引額ベースでのシェア1位の座を維持しつつけました。
アマゾンが上記のような満足度の向上や販売カテゴリの拡大、プライム会員へのサービスの拡充などの取り組みにより、ようやくシェア1位になったのです。
特にプライム会員へのサービスについては、電子書籍、ビデオの一部を見放題とするなど、競合からみるとほとんど反則級のサービスではないかと思えるほどです。
何が言いたいかといいますと、ECのサービスの満足度でも劣り、プライム会員へのサービスもある中で、楽天は営業力において、EC市場での地位を確保してきたということです。
楽天の営業力については、楽天経済圏をベースにしたポイントバラマキ施策や迷惑メールまがいのメール販促もありますが、ベースとなっているのは、加盟店の開拓やきめ細かな販促施策フォローです。
この営業力で、アマゾンに対抗しつつ、ライバルと目されたヤフーに大きく差をつけたのです。
QRコード決済においては、加盟店のインフラコストは追加でほとんどかかりませんので、現在クレジット決済端末をおいている店舗においては、メジャーどころのQRコード決済サービスはほとんど契約することになると思います。
(一部、競争上の都合で特定の決済サービスが使えないようにすることが話題になるはずです。)
そのため、加盟店の獲得競争においては、現在クレジット決済に対応していない店舗や露店に対して、如何に自社の決済サービスを使ってもらえるようにすることです。
そのためには、安い決済手数料を売りにして、インターネット経由でアピールするだけでは全く不足です。
泥臭いドブ板営業を他社よりも早く他社よりも広範囲で行い、アフターフォローを効率的に過不足なく行うことが必要になります。
これについては、楽天が他社と比較して最も実力があると考えます。
楽天に関する懸念は、どこまでQRコード決済事業にリソースがさけるかということです。
といいますのも、楽天は携帯電話事業に本格参入することを発表していまして、多額のコストがかかるからです。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクに対抗するインフラ網を構築する場合は、数兆円の投資が必要になると言われています。
(楽天は、ドコモなどの他社へローミング接続させてもらうなどにより設備投資額を削減しようしている節がありますが、削減できるか否かも含め、内容についてはオープンになっていません。)
また、ドコモやKDDIは毎年5,000億円以上の追加の設備投資を行うなど、一度設備投資すればしばらくやり過ごせるという事業ではないようです。
更に、ドコモが5Gサービスを2020年から商用化することを発表するなど、これから5Gの投資も必要になってきます。
インフラ投資だけではなく、キャリアショップなどの販売網の整備、ドコモなどから顧客を獲得するための販売促進費、スマホ端末の調達費用、諸々の人件費等、トータルでどれほどのコストがかかり、それによりどれほどのリターンがあるのか検討がつきません。
このように、しばらくの間、携帯電話事業に相当リソースを奪われてしまいますので、QRコード決済事業にどれほどリソースがされるかは不透明です。
平たく言えば、『本気を出せば強いが、本気を出せるかはわからない』という状況です。
かなり、長くなりましたので、『③ NTTドコモ : d払い』以降については、次回お話しします。